やさしさは、見えない構造を知ることから
- itanochisako
- 5月22日
- 読了時間: 3分
更新日:6月2日
はじめに
私は、基本的にはいつも、誰かにやさしくしたいと思っています。
家族や仕事で関わる人、そしてもちろん、自分自身にも。
でも以前こんな風に感じるときがありました。
「こんなに気遣っているのに、なぜか伝わらない」「やさしさが、逆効果になってしまったかもしれない」
それどころか実際に人を傷つけたことも。
私自身が、そんな経験をたくさんしてきたからこそ、今はこう思うのです。
本当のやさしさは、「いまその人が、そして自分自身が、どんな構造の中にいるのか」を理解しようとするところから始まるのかもしれない
見えない「構造」「仕組み」が、すべての土台にある
私たちは、いつもいくつものレイヤーの中で生きています。
職場での役割や立場
家族との関係性
世代や文化、時代背景で培われた観念
そのときの体調、ホルモンバランス、睡眠状況、季節の変わり目、気圧の変化
人生のフェーズや個人的なストーリー
たとえば、職場で遅刻する人がいたとき、表面だけを見れば「やる気がない」と思ってしまうかもしれません。
でも、その人が家庭でケアを担っているのかもしれない。夜眠れずに苦しんでいるのかもしれない。部署内で見えないプレッシャーを受けているのかもしれない。
そしてそうやっていろいろな想像をしてみても、それは自分の主観でしかないことも事実。
あるいは、誰かに何かを言いたくなったとき、それは自分自身の無意識にある何かがそうさせているのかもしれない。
「誰かのせい」にも、「自分のせい」にもしないで、まずは見えないけど確実にはたらいている仕組みを理解すること。
それが、やさしさの入り口になることもあると思うのです。
焦らず、こじ開けず、そっと照らす
構造を見ようとする態度は、自然と「変えよう」とする前に「わかろう」とする視点をもたらします。
私はかつて放射線科医として、CTやMRIで身体の中を見ていました。
CT:密度の違い(光と影)で骨や空気、軟部組織など構造を見る
MRI:分子の反応から、水分や脂肪を捉える
どちらも「見えない構造を見えるようにする」技術です。そして、組織や人間関係もまた、同じように見えない構造があります。
私の今の仕事は、ある意味で組織の“見えない構造”に光をあてることかもしれません。
できればCTではなく、MRIのような、やわらかい磁場や電磁波のような在り方でいたいなと思っています。
やさしさは、見えない構造を知ることから。
それは、今日すぐに変えようとすることではなく、まず見ようとすること。 そこから、少しずつ「気」が巡っていくような気がしています。

(ちなみにこれはCTです)